Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題:視床下部をめぐつて
視床下部と摂食行動
Hypothalamic Feeding Behavior
大村 裕
1
Yutaka Oomura
1
1金沢大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Medicine, Kanazawa University
pp.84-97
発行日 1966年3月25日
Published Date 1966/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904267
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視床下部が摂食の調節機序に関係していることは視床下部を破壊すると,部位によつて摂食量が減少したり(HetheringtonとRanson,1940)増加したり(HetheringtonとRanson,1942;Brobeck,1946)することからすでに知られていた。しかし系統的に摂食調節に関する視床下部の機構を明らかにしたのはAnandとBrobeck(1951)である。彼らはラットおよびネコを使用して,視床下部の外側部LHを両側性に通電により破壊したら餌や水を全然とらなくなりついに飢餓状態になつて死亡すること,また腹内側核VMやその外側よりを両側性に破壊すると(核を傷つけないでも),多食になり脂肪症がおこるのを見た。彼らはこれらの実験結果からLH(前額および水平断面で腹内側核のある部位に局在している)を摂食中枢と名づけ,VMを含む内側部は摂食の抑制中枢であると考え,これを飽満中枢とよんだ。この見解はその後ネコの摂食中枢に慢性電極を植込み,電気的に刺激すると摂食量が増加するというDelgadoとAnand(1953)の実験によつて支持されている。この場合満腹状態の動物でもLHの刺激によつて餌を食べることが明らかになつた(Smith,1956;Miller,1960)。逆にVMの電気刺激中はネコは摂食中でもかむのをやめ餌が口から落ちても食べようとはしない(大村ら,1962)。
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