- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
最近ようやく世間でも騒がれだしましたが,人口減少時代の到来は身近でも感じられるようになってきました.通勤に使っている私鉄の混み具合が,以前と比べて緩和されてきたためです.フレックスタイム導入などの勤務形態の多様化によるものかとも思いましたが,先日その電鉄会社の幹部と話す機会があって話題にしたところ,乗客者減少はその会社の統計解析でも明らかなようで,経営戦略の見直しを進めているとのことでした.沿線の各駅別の乗降者数の解析では少子化の影響で通学の学生数の減少が最も顕著で,人口減少がみられない地域の駅でも減少している原因は通勤者の減少,すなわち電鉄を利用しない高齢者の増加があるとみているようです.この会社に限らず関西のすべての電鉄会社の乗客数は減少傾向にあるとのことで,当然ながら運賃収入は年ごとに減少してきており,消費税増税を契機として行う運賃増額にも限度がありますので,支路線ではワンマン電車の導入を進める予定とのことですが,さらには電鉄社員を他の部門(系列の不動産会社,デパート,ホテル,老人ホームなど)へ配置転換して経営の多角化と効率化を図っているとのことでした.
産婦人科でも地域差はあるものの分娩数が減少している施設が多いようで,また不妊治療を希望する女性の絶対数も減少傾向にあります.反面,婦人科癌患者数,特に子宮体癌そして卵巣癌の患者数の増加がみられ,若い世代での子宮頸部円錐切除例も年々増加しています.過去十数年の本誌特集号別販売部数をみると,以前は婦人科腫瘍に関するものはあまり伸びないという傾向がみられますが,最近では腫瘍の診断や治療に関するものが周産期や生殖内分泌と同様に,あるいはテーマによってはそれ以上に販売数が多くなっているようです.これも人口動態の変化に伴う疾患構成と患者数の変化に関連しているのかも知れません.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.