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編集後記
神崎 秀陽
pp.1086
発行日 2013年10月10日
Published Date 2013/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103528
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政権交代後,デフレ脱却および景気浮揚対策という名目で地方からは大型の公共事業要望が出されています.道路,鉄道,港湾などの関連が多いようですが,これから人口減少時代を迎えるわが国でのインフラ整備は,長期的には必ずしも地方の活性化,すなわち人の確保にはつながらないと思います.一極集中型の人口移動が北海道から沖縄まですべての地域で起きており,小都市や郡部で人口減少が進んできている一方,大都市圏ではあまり変化がないどころか増加している地域もあります.様々な要因があるのでしょうが,交通の便が良くなることと地方の人口減少は多少関連しているように思えます.交通網の整備が進むと,繁華街やデパート,ショッピングセンター,文化施設,医療施設などが集中している大都市に周辺地域から多数の人が集まりやすくなり,地方の関連施設の衰退で雇用が失われ,ますます人口集中が進んでいるのではないでしょうか.より快適で便利かつ文化的な生活環境を求めるのは当たり前ですので,これは世界普遍的な現象ですが,特に日本では顕著になってきています.都市部集中の証左として,近畿圏でも大阪市内あるいは大阪から神戸に至る主要な駅周辺では高層マンションの建設が盛んに行われています.また非常に厳しい建物規制(高さや容積率)のためマンション建設が抑制されていた京都でも,市街中心部で複数の建設計画が出てきているようです.
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