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編集後記
神崎 秀陽
pp.1476
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102226
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鳩山由紀夫首相の温室効果ガス削減宣言が話題になっています.「1990年比で2020年までに25%削減する」という目標設定に対して,経済界は非現実的であると猛反対のようです.この議論のもととなっている,温室効果ガスが地球の温暖化を促進しているという前提に懐疑的な意見があることはあまり報道されていませんが,そもそも現時点で地球の気候が温暖化過程にあるかどうかに関しても科学的には明確ではないようです.思い起こすと,1970年代の始めまでは,多くの気象学者は地球の寒冷化を問題としその対策を議論していました.
温暖化への懐疑論者は,1977年に始まった地球温暖化はすでに終わっており,21世紀に入ってからはすでに寒冷化に向けて新たな段階に入っていると言っています.地球の気候変動に太陽活動が与える影響はCO2などの温室効果ガスの影響よりはるかに大きく,気温変化に人類の活動が与える影響は不明であるとする懐疑論者の意見には一理あります.南太平洋のツバル諸島の浸水問題が温暖化による影響としてしばしば報道されていますが,近年の海水面の上昇はごくわずか(数cm)ですから,珊瑚礁の陸地が海水で自然浸食され低下してきているツバルの問題は,地球温暖化とはあまり関係のない現象と思われます.
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