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編集後記
神崎 秀陽
pp.1258
発行日 2010年8月10日
Published Date 2010/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102455
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サッカーのワールドカップ報道を見ていると,不謹慎かも知れませんが「勝てば官軍,負ければ賊軍」,あるいは,「熱しやすく冷めやすい」というフレーズが浮かびました.日本人だけはありませんが,時代や世代を超えた,人の本性を言い得て妙のことわざです.われわれの世代ではなかなかついていけないほどにまで,インターネットや多機能携帯電話が普及し,リアルタイムでさまざまな情報があふれています.ニュースはたちまち旧聞となり,一般の認識からは急速に薄れていきます.
周産期医療の崩壊,あるいは病院や医師数の危機的な不足といった実情が繰り返し報道され,分娩施設の集約化や医学部定員増が話題となってからまだ2年程度しか経ちませんが,最近ではこの問題が報道されることはほとんどなくなりました.昨年からは徐々に産婦人科志望者が増加してきたとはいえ,一部の地域を除けばなお絶対的な産科医師不足の状況にあることは明らかです.各地域での搬送や連携体制がある程度強化されてきたことで,問題視される例が減少した事実は喜ぶべきでしょうが,根本的な解決にはまだまだ遠い道のりです.世間一般は,まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という状態ではないかと危惧しています.
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