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編集後記
神崎 秀陽
pp.666
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101539
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先日大阪地方裁判所から,大学病院での手術および電子化された診療録の実態を見学したいという要請があり,4日間で計22名の裁判官および書記官が,外科系全科にわたる手術10数件を見学しました.もちろん手術手技についてではなく,患者さんの移動・受け入れ,認証手順,手術部および個々手術室の構造,麻酔機器や手術器具の準備,麻酔導入,要員の配置,輸血・輸液の手順などについての見学が主体で,最終日の夕刻には,医療安全部の主催で医療訴訟についての講演会を開催しました.
現在新規の医療訴訟は年間約1,000件で推移しており,内科,外科で全体の50%を占め,産婦人科や整形外科がそれぞれ10%程度という数字はここ数年あまり変わらないようです.長引く裁判は医師,患者双方にとって大きな精神的・身体的負担となるため,期間短縮を目指して全国7か所に医療集中部が設けられています.迅速な審議と鑑定人選定などを行った結果,昨年の大阪地裁の医療訴訟審理期間は4~5年前に比べて10か月以上短縮して14.8か月となっており,今後も審議短縮のために鑑定に協力して欲しい(これが一番言いたかったことか)と要請されました.胃癌診断の遅れでの死亡例を模擬事例とした民事訴訟(損害賠償請求)のビデオ「医療訴訟は現在~大阪地裁医事事件集中部における取り組み」の解説もあり,最近では鑑定人の選定や鑑定方法を工夫し,ときにはグループ鑑定を行い鑑定結果の妥当性も慎重に検討していること,そして医療訴訟の半数以上は判決ではなく和解で解決されていることなどの話がありました.
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