症例
術前に卵巣癌を疑った水腫様変性漿膜下子宮筋腫の1例
朝野 晃
1
,
早坂 篤
1
,
鈴木 博義
2
,
石橋 ますみ
1
,
島 崇
1
,
小澤 信義
1
,
和田 裕一
1
1独立行政法人国立病院機構仙台医療センター産婦人科
2独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床検査科
pp.848-851
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102712
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年齢は41歳.下腹部の張り,背部・腰部重苦感を主訴に受診した.
超音波検査,CT, MRI検査で腫瘍内部に網目状に細かな隔壁を有する新生児頭大の嚢胞性腫瘍を認め,卵巣癌を疑った.腫瘍マーカーではCA 125が57.5 U/mlと軽度上昇していた.開腹手術を施行したところ,子宮は正常大で,子宮後壁下部より発生した,一見卵巣腫瘍と思われる長径20 cmの嚢胞性に水腫様変性をした漿膜下筋腫であり,筋腫核出術を施行した.
卵巣悪性腫瘍を思わせる多嚢胞性骨盤腫瘍の場合には,変性した漿膜下平滑筋腫の可能性を考慮し,症状,子宮との連続性の有無,血中CA 125値,子宮からのflow voidの有無などに注意し,鑑別診断を進める必要があると思われた.
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