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編集後記
神崎 秀陽
pp.306
発行日 2012年3月10日
Published Date 2012/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102944
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3月卒業,4月入学という大学における恒例の行事日程が変更される可能性が出てきました.東京大学を始めとした国立,私立の十数大学で,秋入学への全面移行が真剣に検討されています.欧米への留学時に,日本との学期のずれに不都合を感じられた方も多いと思いますし,大学のカリキュラムとしての短期海外研修についても,学年の違いを配慮した調整が必要でした.秋入学となれば,海外からあるいは海外への留学生増加が期待され,企業や産業界としては,グローバル化の促進,グローバルな人材獲得に有効でしょう.すでに海外にあわせて,春に加えて秋採用を定例化している会社もあるようです.東大を含めたわが国の大学も明治開校以来しばらくは秋入学が行われており,それが春に変更されて定着したのは大正時代とのことで,理由は会計年度にあわせて,新卒人材を官公庁や企業が採用するためのようです.入学時期はそれぞれの国の歴史や文化とも密接に関係しているようで,ドイツ,フランス,イタリア,ロシア,中国,大韓民国などは暦年に従って1~2月入学を採用し,イギリス,イスラエル,インドなどは3~4月を,オーストラリア,スウェーデンなどは6~7月を,そしてアメリカが9~10月となっており,暦年・会計年度・学年度の関係は各国さまざまな現状です.
多くの大学が秋入学へ移行すれば,いずれは高校,中学,そして小学校などの入学時期も秋となり,卒業が夏の初めとなる可能性もあります.春夏秋冬が明確で,季節感が勉学や生活スタイルにも結びついてきているわが国で,冬が終わり桜の季節を迎える頃での卒業,入学というこれまでの郷愁あるイメージはどう変わってゆくのでしょうか.
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