症例
子宮筋層内に多嚢胞所見を認めた子宮体部分泌型類内膜腺癌の1例
佐藤 賢一郎
1
,
森下 美幸
1
,
鈴木 美紀
1
,
水内 英充
2
,
水内 将人
3
,
鈴木 美和
3
,
松浦 基樹
3
,
北島 義盛
4
,
塚本 健一
5
,
藤田 美悧
5
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3札幌医科大学産婦人科
4札幌セントラル女性クリニック
5新日鐵室蘭総合病院臨床・病理検査室
pp.1238-1243
発行日 2010年8月10日
Published Date 2010/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102453
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今回,子宮体部分泌型類内膜腺癌の稀な1例を経験した.
症例は73歳,閉経54歳で2経妊・2経産,71歳時に子宮筋腫を指摘されていた.2008年7月下旬に,子宮内膜増殖症の疑いで他院産婦人科より新日鐵室蘭総合病院産婦人科を紹介された.経腟超音波,MRI,CTで子宮筋層内に多嚢胞所見を認め,子宮鏡検査,子宮内膜細胞診,子宮内膜組織診では異常なく,腫瘍マーカーは,CA 125 167.6 U/ml(基準≦35 U/ml),CA 19-9 212.2 U/ml(基準≦37 U/ml)が高値であった.腹式子宮全摘術,両側子宮付属器摘出術,腹腔内洗浄細胞診を施行した.
摘出物の病理組織検査では,脂肪平滑筋腫に隣接して癌病巣が認められ,子宮内膜の一部と子宮筋層内に嚢胞状の拡張や浸潤が目立つ腫瘍腺管を認めた.高円柱状上皮と淡明な胞体,グリコーゲンと思われる分泌像が特徴的で,核下空胞は目立たないが核上空胞や内腔への分泌像があり,分泌型類内膜腺癌と考えられた.
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