症例
茎捻転を伴い血中CA125値が高値を示した莢膜細胞腫によるtrue Meigs症候群の1例
佐藤 賢一郎
1
,
森下 美幸
1
,
鈴木 美紀
1
,
水内 英充
2
,
水内 将人
3
,
両坂 美和
3
,
松浦 基樹
3
,
北島 義盛
4
,
塚本 健一
5
,
藤田 美悧
5
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3札幌医科大学産婦人科
4札幌セントラル女性クリニック
5新日鐵室蘭総合病院臨床病理検査室
pp.991-995
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102145
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今回われわれは,充実性卵巣腫瘍の茎捻転を伴うMeigs症候群と術前診断し得た1例を経験した.
症例は64歳,腹部膨満感,発熱,下痢を主訴に近医内科を受診したところ下腹部腫瘤を認め,当院産婦人科を紹介された.血液検査で貧血と炎症反応を認め,CA125 585 U/ml,胸部X線で右胸水あり,CTにて長径18.6 cmの充実性卵巣腫瘍と胸腹水を認めた.MRIでは腫瘍はT1強調像で低信号,T2強調像では低~高信号が不規則に入り交じり,造影T1強調像では腫瘤の外側のみが造影され内部はほとんど造影されなかった.以上より良性充実性卵巣腫瘍を疑い,胸腹水の原因としてMeigs症候群を考え,MRI所見と貧血の進行から茎捻転を疑った.
開腹手術を施行したところ,右卵巣腫瘍の2回転した茎捻転で,摘出手術を行った.腫瘍重量は1,620 g,病理組織所見では莢膜細胞腫であった.術後,右胸水は消失し,血中CA125 14 U/mlと下降した.
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