症例
部分癒着胎盤・胎盤遺残による分娩直後の出血に対し経頸管的止血により保存的に治療し得た1例
佐藤 賢一郎
1
,
森下 美幸
1
,
鈴木 美紀
1
,
田原 康夫
2
,
水内 英充
3
,
水内 将人
4
,
鈴木 美和
4
,
松浦 基樹
4
,
北島 義盛
5
,
塚本 健一
6
,
藤田 美悧
6
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2新日鐵室蘭総合病院小児科
3旭川みずうち産科婦人科
4札幌医科大学産婦人科
5札幌セントラル女性クリニック
6新日鐵室蘭総合病院臨床病理検査室
pp.1459-1462
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102224
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
今回われわれは,部分癒着胎盤・胎盤遺残による分娩直後の出血に対して,用手的遺残胎盤の除去と経頸管的止血により子宮温存し得た1例を経験した.
症例は28歳,2経妊・2経産で,妊娠8週6日で当院産婦人科を初診した.妊娠38週1日で自然頭位分娩となったが,部分癒着胎盤による胎盤遺残と考えられる出血を認め,用手子宮マッサージ,子宮収縮剤,止血剤の投与を行うが止血せず,希望により経頸管的な止血を試みた.術中出血量は830mlと推定され,総出血量は2,901mlでMAP6単位を輸血したが,術後は経過良好で産褥4日目に退院した.
分娩直後の経頸管的止血の報告はわれわれの検索した限りでは認められていないようであるが,部分癒着胎盤・胎盤遺残による分娩直後の出血に対して,経頸管的止血も子宮温存治療の選択肢の1つになり得る可能性があるものと思われた.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.