症例
画像診断で悪性腫瘍との鑑別が問題となった約6か月間にわたる長期絨毛遺残の1例
佐藤 賢一郎
1
,
森下 美幸
1
,
鈴木 美紀
1
,
水内 英充
2
,
水内 将人
3
,
両坂 美和
3
,
松浦 基樹
3
,
北島 義盛
4
,
塚本 健一
5
,
藤田 美悧
5
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3札幌医科大学産婦人科
4札幌セントラル女性クリニック
5新日鐵室蘭総合病院臨床・病理検査室
pp.1097-1101
発行日 2009年8月10日
Published Date 2009/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102165
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今回われわれは,悪性腫瘍との鑑別が問題となった約6か月間にわたる絨毛遺残例を経験した.
症例は32歳,約6か月間にわたる続発性無月経,2005年11月には妊娠反応陽性,2006年4月上旬から続く不正性器出血,子宮腔内の超音波異常所見で,同年4月中旬に他院産婦人科より紹介された.CA125,CA19─9,CEAはすべて基準範囲内,血中hCG 9.5 mIU/ml(基準2.7以下)であった.経腟超音波で,充実部分と液状部分が混在する不定形な所見を示し,子宮壁は全体的に血流豊富な印象で,子宮腔内の充実性部分のPI値0.30,RI値0.25であった.MRIでは子宮腔内にはT1強調像で低信号,T2強調像で高信号に描出される液状成分と,T1,T2強調像にて低信号で造影T1脂肪抑制像で造影効果を示す充実部分を認めた.
経頸管的切除術の予定としていたところ,子宮内容物の自然排出を認めた.病理組織所見では血腫を壊死性変化を呈する絨毛が取り囲む像が認められた.
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