症例
妊娠28週で羊水過多症を示したが自然寛解を認めた胎盤血管腫の1例
佐藤 賢一郎
1
,
森下 美幸
1
,
鈴木 美紀
1
,
田原 泰夫
2
,
水内 英充
3
,
水内 将人
4
,
北島 義盛
5
,
塚本 健一
6
,
藤田 美悧
6
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2新日鐵室蘭総合病院小児科
3みずうちウィメンズクリニック
4札幌医科大学産婦人科
5セントラル女性クリニック
6新日鐵室蘭総合病院臨床病理検査室
pp.1457-1461
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102489
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今回,羊水過多症の自然寛解を認めた胎盤血管腫の1例を経験した.
症例は29歳,4経妊・2経産で,27週4日で軽度の心窩部痛を訴え,AFI 26.3の羊水過多と,胎盤に5.1×4.0 cmの胎盤血管腫を認め,血流は辺縁のみに存在した.28週4日には季肋部痛,呼吸苦を訴え,羊水量はAFI 46.5と急増し,入院のうえ羊水穿刺を行った.胎盤血管腫は不変~わずかな縮小傾向を示し,33週6日には4.6×3.1 cmと縮小していた.羊水量は,34週6日にAFI 24.9と自然減少傾向を示し,36週4日にはAFI 9.1と明らかな減少を認めた.36週6日に自然頭位分娩となり,児は3,125 g,母児ともに健常で産褥5日目に退院した.
胎盤の肉眼所見では,臍帯より離れた辺縁に直径約4 cmの乳白色の腫瘍が認められ,臍帯より一部の血管が連続していた.病理組織所見では,中小の血管腔が多数認められ胎盤血管腫(血管腫型)と診断された.また,胎盤血管腫のほぼ100%が梗塞性変化を伴っていた.
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