症例
巨大傍卵巣嚢胞の1例
佐藤 賢一郎
1
,
森下 美幸
1
,
鈴木 美紀
1
,
水内 英充
2
,
水内 将人
3
,
鈴木 美和
3
,
松浦 基樹
3
,
北島 義盛
4
,
塚本 健一
5
,
藤田 美悧
5
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3札幌医科大学産婦人科
4札幌セントラル女性クリニック
5新日鐵室蘭総合病院臨床病理検査室
pp.1589-1593
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102245
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傍卵巣嚢胞は,卵巣腫瘍と比較して通常はそれほど大きくなることは少ないとされる.今回,われわれは閉経後に発生した4.5kgの巨大な傍卵巣嚢胞の1例を経験した.
症例は74歳(閉経57歳),内科でのスクリーニングで骨盤内腫瘍が認められ,精査の目的で当科を紹介された.臍上に及ぶ腹部嚢胞性腫瘤を認め,諸検査の結果より卵巣嚢胞性腫瘍(良性疑い)と診断し,手術を施行したところ,4.5kgの左傍卵巣嚢胞であった.
閉経後例では,手術時に傍卵巣嚢胞であった場合に卵巣を摘出するかどうかの問題が生じる可能性があり,術前診断は意義があるものと思われる.本例を後方視的にみると,被膜が非常に薄く軟らかいため骨盤や脊柱の形に沿った形態を示していることが傍卵巣嚢胞の鑑別診断の一助となるのでははないかと思われた.
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