症例
胸水を主徴としたブレンナー腫瘍によるtrue Meigs症候群の稀な1例
佐藤 賢一郎
1
,
森下 美幸
1
,
鈴木 美紀
1
,
水内 英充
2
,
水内 将人
3
,
両坂 美和
3
,
松浦 基樹
3
,
北島 義盛
4
,
塚本 健一
5
,
藤田 美悧
5
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3札幌医科大学産婦人科
4札幌セントラル女性クリニック
5新日鐵室蘭総合病院臨床病理検査室
pp.871-875
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102127
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今回われわれは,臨床的に腹水貯留が目立たず胸水を主徴とし術前診断が困難であった,良性ブレンナー腫瘍によるtrue Meigs症候群と考えられた稀な1例を経験した.
症例は61歳,気管支喘息,高血圧にて当院内科に通院中であったが,CTにて骨盤内腫瘤を認めるため当院産婦人科を紹介された.子宮下垂,膀胱瘤,直腸瘤を合併し,CA125 254.0 U/ml,胸部X線で右胸水を認め,腹水はほとんど目立たず,超音波,CT,MRIより長径13.5 cmの漿膜下子宮筋腫と考えた.腟式子宮全摘術,前後腟壁形成術を施行したが,術中に左充実性卵巣腫瘍と判明し,さらに開腹のうえ両側子宮付属器摘出術を行った.左卵巣腫瘍は重量は720 g,病理組織診断は良性ブレンナー腫瘍であった.術後,胸水は自然消失し,CA125 13.8 U/mlと下降した.
以上の経過より,本例は良性ブレンナー腫瘍によるtrue Meigs症候群と最終診断した.
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