症例
卵巣腫瘍との鑑別診断が問題となった成人Hirschsprung病の1例
佐藤 賢一郎
1
,
森下 美幸
1
,
鈴木 美紀
1
,
北島 義盛
2
,
奈良崎 亘
3
,
田原 泰夫
4
,
水内 英充
5
,
水内 将人
6
,
塚本 健一
7
,
藤田 美悧
7
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2セントラル女性クリニック
3新日鐵室蘭総合病院消化器・腫瘍内科
4新日鐵室蘭総合病院小児科
5みずうちウィメンズクリニック
6札幌医科大学産婦人科
7新日鐵室蘭総合病院臨床病理・検査科
pp.79-83
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102553
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今回,成人Hirschsprung病の稀な1例を経験した.
症例は25歳,事務職で生来便秘がちで1歳時と15歳時に高度の便秘にて入院歴があった.下腹部痛を主訴に他院内科を受診したところ腹部腫瘤を認め,卵巣腫瘍疑いにて新日鐵室蘭総合病院(以下,当院)産婦人科を紹介された.超音波では明瞭な腫瘤陰影は認められず,CT,MRI,腹部X線ではガスで著明に拡張したS状結腸像を認め巨大結腸症の診断で当院消化器内科を紹介した.消化器内科での注腸造影検査ではS状結腸に狭窄とその後の急激な拡張を示す像(caliber change)が認められ,大腸ファイバースコープ下の生検では拡張部のS状結腸粘膜にはganglion cellは認められたが,直腸~狭窄部S状結腸粘膜にはganglion cellが認められずHirschsprung病と診断した.他院外科にて腹腔鏡補助下Soave法根治術を施行し,術後経過は良好で現在は便通もほぼ正常となっている.
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