症例
超音波によるplacental lacunaeが診断に有用であった部分癒着胎盤・胎盤遺残の1例
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
根岸 秀明
3
,
木村 美帆
3
,
森下 美幸
3
,
田原 康夫
4
,
越後谷 雅代
4
,
塚本 健一
5
,
藤田 美悧
5
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3札幌医科大学産婦人科
4新日鐵室蘭総合病院小児科
5新日鐵室蘭総合病院検査科
pp.1307-1311
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101593
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超音波によるplacental lacunaeにより分娩前に癒着胎盤が疑われた1例を経験した.症例は34歳,1経妊・1経産で,前回の他院での分娩時に部分癒着胎盤,胎盤遺残の既往がある.今回,妊娠24週5日に子宮後壁の底部側にplacental lacunaeを認め,癒着胎盤の可能性を強く疑い経過観察していた.42週2日に自然頭位分娩となり,麻酔下の胎盤用手剥離を施行したところ一部が残存した.総出血量は約2,000mlで,計1,000mlの濃厚赤血球輸血を行った.産褥5日目に母児ともに退院し,分娩後50日目に再入院のうえ遺残胎盤のTCRを施行し,経過は良好であった.癒着胎盤の分娩前の診断により,インフォームド・コンセント,輸血の準備,手術の準備,スタッフのシュミレーションが可能となり,臨床的に有意義である.Placental lacunaeは癒着胎盤の診断に有用な可能性があるものと思われる.
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