今月の臨床 HRTの新ガイドラインを読み解く
【HRTの適応】
4.骨粗鬆症
茶木 修
1,2
1横浜労災病院産婦人科
2横浜市立大学医学部産婦人科
pp.824-827
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102117
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はじめに
更年期以降は卵巣機能の低下によりエストロゲンの分泌が減少し,さまざまな症状や疾患のリスクが上昇する.閉経後骨粗鬆症はエストロゲンの急激な低下が主因で,骨代謝が亢進し,骨量が減少することで骨折の危険性が高まった状態である.2006年,日本骨粗鬆症学会から「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」が刊行され1),診断と薬物治療開始は分けて考えられることとなった.同時に治療薬剤の選択においては骨折予防のエビデンスレベルが問われることとなり,ホルモン補充療法(hormone replacement therapy ; HRT)の扱いはより慎重なものとなった.更年期医療で広く行われているエストロゲン補充療法(ERT)は骨量を維持・増加させ,骨折のリスクを下げることが知られているが,乳癌や脳血管障害,虚血性心疾患のリスクを上げる可能性が指摘され,このガイドラインでは推奨レベルはCとされている.しかし海外では一般にレベルBとされ,適応を十分に考慮すればERTを用いた骨粗鬆症の管理も更年期医療の柱の1つとなり得る.今回『本邦におけるホルモン補充療法ガイドライン』ではHRTに期待される作用・効果として骨粗鬆症が提示された.この項ではHRTの骨粗鬆症に対する効果について概説する.
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