今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
更年期・老年期
4.骨粗鬆症
水沼 英樹
1
1弘前大学医学部産婦人科
pp.540-543
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102646
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1 疾患概念
骨粗鬆症は「骨強度の低下によって骨折のリスクが増加しやすいことを特徴的とする骨疾患」と定義される1).骨粗鬆症は多因子疾患であり,遺伝的要因および生活習慣がその発症に大きく影響している.本症は明らかな基礎疾患がありそれにより発症している続発性骨粗鬆症,および原因が明確でない原発性骨粗鬆症に区別される.原発性骨粗鬆症はさらに特発性,若年性,および退行期骨粗鬆症に亜分類される.以前は50歳代から70歳ぐらいまでの閉経後女性の骨の高代謝回転を背景に持つ骨粗鬆症を閉経後骨粗鬆症,また,70歳以上の男女に生じる低代謝回転骨粗鬆症を老人性骨粗鬆症として漠然と区別していたが,高齢女性においても骨代謝マーカーの持続高値を伴う骨量減少が生じていることから,最近では閉経後女性に生じるものをすべて閉経後骨粗鬆症と呼ぶようになっている2).また,骨粗鬆症は内分泌代謝疾患でありその臨床像には多彩な合併症を伴うので全身疾患として捉えることが重要である(図1).
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