今月の臨床 HRTの新ガイドラインを読み解く
【HRTの適応】
3.泌尿器・生殖器の萎縮
倉林 工
1
1新潟市民病院産婦人科
pp.817-823
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102116
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はじめに
泌尿器萎縮に伴う尿失禁,過活動膀胱や生殖器萎縮に伴う萎縮性腟炎と性交痛は,多くの閉経後女性に認められ,その頻度と症状の程度は,加齢ともに高度となる.従来日本では,欧米に比べ女性の尿失禁や性交痛への関心度が著しく低かった.しかし,近年のquality of life(QOL)を求める流れのなかで,次第に女性や医療者側でもこれらの泌尿器・生殖器の萎縮症状に対して目が向けられつつある.
下部尿路と生殖器は発生学的に密接な関係にあり,同様なホルモン感受性を持つ.更年期以後の女性ではエストロゲン欠乏に伴い,更年期障害,萎縮性腟炎,骨量減少,コレステロール上昇など種々の病状を呈するが,尿路系にもエストロゲン欠乏が影響するものと考えられる.エストロゲン欠乏に対するホルモン補充療法(hormone replacement therapy : HRT)が更年期以降の女性の泌尿器・生殖器の萎縮症状に対する有効な治療法となりうるか,以下,泌尿器萎縮と生殖器萎縮にわけて,「HRTガイドライン」での記載および文献的考察を加えて詳解する.
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