今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
I 不妊の検査・診断 F免疫因子
【抗精子抗体】
33.抗精子抗体の検出にはどの検査法が優れているのでしょうか.女性側と男性側に分けて,わかりやすく教えてください.
藤井 俊策
1
,
福原 理恵
1
,
福井 淳史
1
1弘前大学医学部産婦人科
pp.431-433
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102022
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[1]抗精子抗体の検査法
精子抗原は数多くあり,それらに対応する抗精子抗体(anti─sperm antibody:ASA)も多様である.すべてのASAが不妊の原因となるわけではなく,不妊症と関連があるのは精子不動化抗体のように精子運動性を障害する抗体や,精子頭部に結合して受精を阻害する抗体である.ASA検査は自然妊娠の可否1),人工授精(artificial insemination with husband's semen:AIH)の成否2)などを予測するうえで有用と報告されている.スクリーニング検査として勧められてもいるが,どの検査法も保険適用になっていない.そのため,ASA陽性の可能性が高い症例,すなわちHuhnerテストまたはMiller─Kurzrokテスト異常,無力精子症,原因不明不妊,AIHや生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)の反復不成功など症例を限定して行われることが多い.ASAの検出法は数多くある(表1)が,検査センターに依頼可能または一般的な検査室でも実施可能で,不妊との関連が明らかにされている検査法について述べる.手技の詳細はWHOラボラトリーマニュアル3)などに記載されている.
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