特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
2.自己免疫疾患の検査
5)自己抗体
(36)抗精子抗体
神崎 秀陽
1
Hideharu KANZAKI
1
1京都大学医学部婦人科学産科学教室
pp.265-267
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900874
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はじめに
抗精子抗体の存在が生殖機能を障害する場合があることが知られている.精巣にはいわゆるblood-testisbarrier (血液―精巣関門)があるため,精子は自己の免疫細胞にさらされることなく発育・成熟してゆく.なんらかの原因でこの関門が破綻すると,精子抗原に対しての免疫応答が起こり,自己抗体としての抗精子抗体が誘導されると推測されている.他方,女性性管内での精子や精漿抗原によるisoirnmunizationが,女性側にこれらの抗原に対してのアロ抗体を誘導されることも明らかとなってきた.従来原因不明とされてきた不妊症のなかにこのような精子免疫に起因する症例があることが明らかとなり,それらは"免疫性不妊"として取り扱われている1).
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