今月の臨床 エキスパートに学ぶ―漢方療法実践講座
【処方の実際】
5.子宮筋腫の漢方治療―切らない筋腫治療における漢方の役割
井上 滋夫
1,2,3
1白眉会切らない筋腫治療センター
2白眉会佐野伊川谷病院婦人科
3白眉会画像診断クリニック
pp.1081-1085
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101837
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はじめに
子宮筋腫は,閉経後退縮する良性腫瘍なので,手術の絶対適応例は少ない.にもかかわらず,「肉腫の可能性も否定できないので,超手拳大で手術適応,40歳以上では子宮全摘」と定型的な治療がなされてきた.
近年,MRIにより肉腫の可能性がある非典型的筋腫の診断がほぼ可能となり,内視鏡手術の進歩,子宮動脈塞栓療法(UAE),集束超音波治療(FUS)など,新たな治療手段も登場してきた.このような変化のもとに,従来の定型的な手術適応は意味を失い,「切りたくない」という患者の意思を無視することはできなくなってきた.
筆者は,FUSを日本で最初に導入した医誠会病院に,UAE・内視鏡手術・腟式手術のすべてを実施できる専門ユニットを開設したが,2006年より白眉会画像診断クリニックに「切らない筋腫治療センター」を開設し,MRI診断・漢方・内視鏡手術を柱とした「保険診療による非開腹筋腫治療」を追及している.
本稿では,子宮筋腫治療のすべての選択肢を実施してきた筆者が,「切らない筋腫治療」において,漢方をどのように位置づけ,活用しているか紹介する.
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