特集 日常診療上の狙いと盲点・II
手術か保存療法か
子宮筋腫
藤井 純一
1
Junichi Fujii
1
1関東逓信病院産婦人科
pp.387-389
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204819
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.子宮筋腫はどのくらいの頻度で見られるものか
子宮筋腫は日常の臨床でしばしば遭遇する疾患であり,筋腫がある程度以上の大きさになると内診で容易に診断がつく。妊娠を含めての全外来患者に対する頻度は日本では大略,3〜4%2,3)といわれている。婦人科手術中の頻度は当院では昭和32年から昭和45年(14年間)の婦人科手術数3,510例中子宮筋腫手術827例(23.6%)であり,また長崎大学6)20年間の婦人科手術6,893例中 551例で約8%前後である,多少都市と郡部などの立地条件でも頻度は異なるであろうが,手術の頻度は手術適応や治療方針とも関連してかなり異なる可能性もある。40歳代に最も多く,全症例の約50%をしめ,ついで30歳代,50歳代の頻度である。これは筋腫が良性腫瘍で長い年月で発育するものであることによる。したがつて20歳代の筋腫はまれである。また閉経以後は筋腫の発育が停止することもよく知られていることで60歳70歳代の筋腫はよほど大きなものが放置されていた場合を除いてきわめて少ない。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.