今月の臨床 エキスパートに学ぶ―漢方療法実践講座
【処方の実際】
4.月経前症候群・月経困難症・子宮内膜症
太田 博孝
1
1秋田赤十字病院産婦人科
pp.1076-1079
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101836
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はじめに
女性にみられる特徴的な症状のうち,冷えや月経前症状,月経痛,下腹部痛などは,内分泌バランスのみならず,個人の体質と深くかかわっている.こうした症状の発現態度は,体質により異なってくる.例えば,冷えと下腹痛という症状がある.両症状は,一病態の表裏面の症状として発現してくる.痩せて虚証型の女性は,一般に冷えの程度が強くなるが,同時に月経困難症や下腹痛が好発する.このような女性では,全身の血流が低下するため,身体のエネルギー代謝が低下してくる.その結果,末梢血管が収縮し,強い冷えを伴うようになる.下半身の冷えは同時に,内臓器官を収縮させ,腹痛などの症状も発現してくる.このように,症状は個人の体質と密接に関連する.東洋医学では,一連の症状を部位別,臓器別に捉えるのではなく,心身一体として捉えている.こうした理念を深く理解することが,漢方治療エキスパートへの道となる.
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