症例
卵巣悪性腫瘍と鑑別がきわめて困難であった腹膜播種を伴うGISTの1例
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
根岸 秀明
3
,
木村 美帆
3
,
森下 美幸
3
,
塚本 健一
4
,
藤田 美悧
4
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3札幌医科大学産婦人科
4新日鐵室蘭総合病院検査科
pp.1195-1199
発行日 2007年9月10日
Published Date 2007/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101574
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今回われわれは,腹膜播種病巣を伴うgastro-intestinal stromal tumor(以下,GIST)の1例を経験した.症例は85歳,4経妊・3経産,閉経は53歳で,下腹部痛の主訴で受診したところ卵巣悪性腫瘍と思われ,開腹手術を施行した.開腹所見では,腹腔内には多数の播種病巣が存在し,卵巣悪性腫瘍と思われた.術後の病理組織学的検討で紡錘形細胞を主体とする腫瘍で上皮構造を認めず,免疫組織染色にてKIT陽性であったためGISTと診断された.術後はメシル酸イマチニブを投与中である.
本例は,卵巣悪性腫瘍と酷似し,術前・術中診断もきわめて困難であり,組織学的検討によって診断された.稀な病態であるが,卵巣悪性腫瘍の鑑別診断の1つとして本疾患も念頭に置く必要があるものと思われた.
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