特集 周産期の画像診断 第3版
母体・胎児編 Ⅰ.超音波診断 G.胎盤・臍帯・羊水
前置胎盤・癒着胎盤
三輪 一知郎
1
MIWA Ichiro
1
1山口県立総合医療センター産婦人科
キーワード:
placental migration
,
sponge like echo
,
thick edge
,
clear zone
,
placenta lacunae
Keyword:
placental migration
,
sponge like echo
,
thick edge
,
clear zone
,
placenta lacunae
pp.189-193
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001841
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
前置胎盤とは
胎盤が正常より低い部位の子宮壁に付着し,組織学的内子宮口を覆うか,その辺縁が同子宮口にかかる状態をいう。組織学的内子宮口を覆う程度により,①全前置胎盤,②部分前置胎盤,③辺縁前置胎盤に分類する。これらは,臨床上の概念として,胎盤が,開大した内子宮口の①全部を覆う,②一部を覆う,③辺縁に達する状態に対する診断名であるが,内子宮口が閉鎖した状況での超音波診断法による診断では,①を組織学的内子宮口を覆う胎盤の辺縁から同子宮口までの最短距離が2 cm以上の状態,②を上記距離が2 cm未満の状態,③を同距離がほぼ0の状態にそれぞれ相当させると暫定的に定義するものとする(図1)。また,内子宮口とそれに最も近い胎盤辺縁との距離が2 cm以内の状態を低置胎盤の目安とする。なお,組織学的内子宮口は超音波断層法(通常は経腟法)により描出された頸管腺組織の子宮体部側の末端の部分とみなす。日常診療においては超音波断層法で妊娠中期に前置胎盤を疑い,妊娠31週頃までにはその診断を行う1)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.