Medical Scope
胎盤生検(その3)—Placental Biopsy
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.564
発行日 1979年8月25日
Published Date 1979/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205592
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胎盤生検(バイオプシー)ということを聞いたとき,真先に考えつくのが胎盤機能不全症候群の診断にいいな,ということでしょう。IUGR(子宮内発育遅延児intrauterine growth retardation)となる高血圧をはじめとする多くのハイリスク妊娠例の胎児管理には,各種の胎児胎盤機能検査法やNSTやCSTなどの分娩前の胎児心拍数モニタリングが行なわれています。そして,出生後には胎盤の形態学的,生化学的検査も行なわれて,胎盤が小さいだの,白色梗塞が多い,出血があった,血管の硬化がみられたなどという病変があることを私たちは知らされています。この胎盤の病変を出生前に知ることができて,胎児との関係を明解に理論づけることが可能になれば,これらの胎児管理も一段と進歩し,IUGRでの胎児死亡例もなくなってしまうのではないでしょうか。ところが,それがつい私たちの眼の前まできているのです。
妊娠中毒症などのハイリスク妊娠例では,日常にNSTやCST,胎児胎盤機能検査を行なうと同様に胎盤生検も行なうことにします。安全性は先の号で述べたように,250例に合併なしというのですから確かだといってよいでしょう。
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