今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
I 周産期
【切迫早産】3.子宮口が開大するほどではないが,繰り返す子宮収縮がみられる妊婦です.
柳下 正人
1
1東京医科大学産科婦人科学教室
pp.353-355
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101433
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1 診療の概説
切迫早産とは,明らかな母体・胎児の疾患がないにもかかわらず,陣痛が起こり,その結果突然に早産,前期破水に進行することと定義されている.頸管無力症,絨毛膜羊膜炎などに起因するとされる.頻度としてはおよそ4~8%といわれるが,近年増加傾向にある.
原因としては,細菌性腟症から子宮頸管炎,絨毛膜羊膜炎に進行し子宮収縮が起こることや1),頸管無力症も原因となる.診断としては,内診所見で経時的に子宮口が開大し,頸管が熟化し短縮していくことが,子宮収縮の自覚症状や圧迫感,帯下の増量などのほかの切迫徴候よりも早産の予知には最も重要である.
薬剤は,まず一般細菌を対象として,抗菌スペクトルの広い薬剤で,子宮内感染,付属器炎に適応を有する薬剤を選択する.通常,徒歩で来院してくる軽症例では,抗生剤の経口投与のみで軽快することが多い.この場合,軽快しても必ず再診させて,臨床所見と起炎菌を確認することは重要である.なぜなら,クラミジア,淋菌などでは選択する薬剤が異なり,それを放置することにより,慢性の付属器炎や卵管性不妊を生じる可能性があるからである.
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