今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
I 周産期
【GBS感染症】4.妊娠中の培養検査で,B群溶血連鎖球菌(GBS)が陽性と出た妊婦です.
柳原 敏宏
1
1香川大学医学部周産期学婦人科学
pp.357-359
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101434
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1 診察の概説
B群溶血連鎖球菌(GBS)はStreptococcus agalactiaeのことであり,腟・会陰・直腸の常在菌である.一般的に成人の約1/3に腸管内保菌者が存在し,妊婦の腟・会陰から10~15%から検出される.妊婦が腟内にGBSが保菌してもほとんど症状のない場合が多いが,近年糖尿病などの基礎疾患のある場合の発症が問題となっている.また,GBS単独の腟炎ではなく,ほかの細菌との混合感染による場合にはpreterm PROMや流早産の原因になる場合もあるとされている.一方,子宮内胎児には影響ないとされているが,PROMや絨毛羊膜炎の原因がGBSである場合には,上行性の胎児感染も注意が必要である.
GBS保菌妊婦からの出生児のうち36~58%でGBSが検出されるが,このうち1%前後が発症する.全妊娠から計算すると,米国では新生児1,000人に1~3人とされており,本邦では発症率は米国に比較すると非常に低く,1,000人に対して0.05~0.2人が発症する.
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