連載 OBSTETRIC NEWS
任意の(医学的適応のない)誘発分娩(未産婦): 帝王切開率が増加する(シアトル)
武久 徹
1
1武久産婦人科医院
pp.976-977
発行日 2003年7月10日
Published Date 2003/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100889
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誘発分娩の最大の合併症は帝王切開(帝切)率の上昇である.FDAは「現時点ではピトシン(オキシトシン)を任意の誘発分娩(医学的,産科的適応がない誘発分娩)に使用した場合の恩恵と危険の検討は不十分なので,ピトシン使用は任意の誘発分娩の適応ではない」と勧告している.そのほか,多くの研究で誘発分娩は帝切率を上昇させると報告されている.
7,000例以上(未産婦3,138例,経産婦3,863例)の誘発分娩を対象に行われた研究(カンサス市)では,自然陣痛発来に比較して誘発分娩を行った場合の帝切率は有意に増加することが報告されている(未産婦7.9% vs 18.5%/経産婦3.3% vs 7.1%)(AJOG 180 : 628, 1999).Prysak(デトロイト)も後方視的症例対照試験を行った.対象は満期,頭位,ロウリスク妊娠で,任意の誘発分娩(461例)と自然陣痛後の分娩(461例)を比較した.分娩結果は任意の誘発分娩群で帝切が80%増加した(8.7% vs 5.0%, p<0.036).帝切の適応は,心配な胎児心拍数のための帝切に有意差はなかった(0.9% vs 1.5%)が,難産のための帝切は 2.4倍であった(7.6% vs 3.5%).結論として,任意の誘発分娩は頻繁に採用され安全で有効な方法であるが,未産婦,未成熟頸管の場合は帝切率は有意に増加すると報告している(表1)(OG 92 : 47, 1998).
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