疾患の病態と治療 日常診療の再検討
帝王切開の適応
福島 穣
1
Minoru Fukushima
1
1名古屋保健衛生大学
pp.445-448
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205624
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近代医学の進歩に伴い,帝王切開術は技術的に安定度の高い急速遂娩法として賞用されているが所詮はlaparotomy開腹術である以上,母児双方に対する侵襲は他の経腟分娩方式よりも増大する危険を孕んでいることを忘れてはならない。したがって安易な帝切の乱用は厳戒すべきであるが,他方遮に無にこれを回避しようとして無謀な経腟分娩を強行し,児を失ったり,永久的な損傷をあたえる結果を招いたり,母体にも重篤な傷害を及ぼすことはもはや許されぬ暴挙である。「産科学は曲芸acrobatではない」ことを重ねて強調したい。この観点から私達が実践している帝王切開術の諸相について記述する。
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