連載 イラストレイテッド産婦人科小手術・9
―【婦人科小手術】―子宮頸管ポリープ切除術・筋腫分娩切除術
石本 真紀
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1医療法人王子総合病院産婦人科
pp.909-912
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100735
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1 はじめに
子宮頸管ポリープは,日常の婦人科診療でしばしば経験される疾患であるが,通常は外来で切除治療がなされ,組織学的にはほとんどが良性である.
子宮頸管ポリープ1)は,頸管粘膜が限局性に増殖した有茎性で表面平滑,深紅色な小腫瘤で,1~数個発生することもある.外子宮口より露出し,接触により容易に出血する.ごく稀に癌肉腫などの悪性病変が合併することがあるため,切除時には病理組織学的検索が望ましいと考えられる2).
筋腫分娩1)は,粘膜下筋腫が有茎ポリープ状となって子宮腔内に懸垂し,茎が延長することによって筋腫結節は子宮頸管を通り,外子宮口から腟内に脱出した状態をいう.陣痛様の疼痛と出血を伴うことから上記のように称されている.壊死を起こしていなければ弾性硬の腫瘤である.ときに日常診療で遭遇する疾患であるが,もともと貧血を有している例も多く,出血が持続する例では輸血や緊急手術が必要となる場合があるので侮れない.特に茎が太い場合には切除によって思わぬ出血をみることがあるので,術前にMRI,カラードプラなどで茎の太さ,血流の状態を可能な範囲で検討することが望ましいと考える.
治療法は子宮全摘術,捻除術,切除術があるが,今回は捻除術,切除術について述べさせていただく.捻除術は難しさもなく簡便であり,可及的もしくは緊急時に対応でき,子宮鏡下切除術は直視下で切除,止血が可能であり,それぞれの状況に合わせての選択が望ましい.
本稿では,われわれが日常に行っている切除術について述べてみたい.
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