症例
帝王切開瘢痕部妊娠に対して妊孕性温存を行った7例
大原 康弘
1
,
工藤 正尊
1
,
石塚 泰也
1
,
宇田 智浩
1
,
井平 圭
1
,
田中 理恵子
2
,
光部 兼六郎
3
,
森脇 征史
4
,
渡利 英道
1
Y. Ohara
1
,
M. Kudo
1
,
Y. Ishizuka
1
,
T. Uda
1
,
K. Ihira
1
,
R. Tanaka
2
,
K. Mitsube
3
,
M. Moriwaki
4
,
H. Watari
1
1北海道大学病院婦人科
2砂川市立病院
3旭川厚生病院
4帯広厚生病院
pp.1173-1184
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000605
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帝王切開瘢痕部妊娠(CSP)は多量出血や子宮破裂をきたすため,早期診断と治療が重要であるが,確立された治療方針はない。今回われわれは2012年1月~2017年12月にCSPと診断した7症例のうち,6症例に対して初期治療としてメソトレキセート(MTX)局注療法を施行,1症例に対して子宮動脈塞栓術後に腹腔鏡下瘢痕部妊娠除去術ならびに瘢痕部修復術を施行し,全例で輸血を必要とせず,子宮を温存することができた。7症例中5症例で治癒後に妊娠が成立し,4症例は正期産で分娩となった。もう1症例は子宮動脈塞栓術後に瘢痕部修復術を施行した症例で,稽留流産,子宮筋層の断裂を認め,子宮腟上部切断術を施行した。CSPに対する妊孕性温存治療として,MTX局注は有効な選択肢となりうることが示唆された。腹腔鏡下瘢痕部妊娠除去・修復術の適応については慎重に選択する必要がある。
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