今月の臨床 ここが知りたい─婦人科がん化学療法
難治性絨毛がんの化学療法は
関谷 宗英
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1千葉大学大学院医学研究院生殖機能病態学
pp.1280-1283
発行日 2004年10月10日
Published Date 2004/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100650
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はじめに
本邦の妊娠性絨毛がん(以下,絨毛がん)は減少しつつあり,1990年以降,発生数は女性人口10万に対し0.1を割っており,最近,日常臨床で絨毛がんを診る機会はほとんどない.
来院時特異な訴えや症状はなく多彩で,病巣が子宮にあれば不正出血や月経異常,穿孔すれば子宮外妊娠の破裂に似たショック症状,腟の出血壊死巣,また肺への転移は呼吸困難や血痰,意識障害や麻痺で脳転移が発見され,他科から搬送されてくる患者がしばしばいる.
年齢を問わず妊娠反応が陽性であれば絨毛性疾患を疑い,確定診断は組織学的検索を要するが,病巣を採取する機会がない場合が多いので,絨毛がん診断スコア(絨毛がんの90%以上が5点以上)により臨床的絨毛がんと診断する.
幸いにも,絨毛がんは多剤併用化学療法により80%近く寛解後生存するので,治療の第一選択は化学療法であり,子宮絨毛がんでも妊孕性を温存できる.しかしながら,従来の化学療法に抵抗性であったり,再発を繰り返し死亡する難治性絨毛がん患者がときにいるので,以下に,救済を目的としたサルベージ化学療法と合併療法について述べる.
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