実地臨床手技のエッセンス 産婦人科病理組織アトラス
胎盤と絨毛性疾患
滝 一郎
1
Ichiro Taki
1
1九州大学医学部産婦人科学教室
pp.373-381
発行日 1979年5月10日
Published Date 1979/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206040
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Ⅰ.胎盤
胎盤の病理学的検査については,日常の診療に関する限り,まず肉眼的な検査を怠らないことが重要である。また,すべての流,早産の分娩に際して胎盤の検査を行なうべきである。胎盤娩出後直ちに検査をするのが最良であるが,やむを得ずできない場合には,患者の氏名を記して直ちにプラスチック,紙製の容器,あるいはビニール袋に入れ,乾燥を防いで冷蔵し,後に検査を行なってもよい。しかし,肉眼的,組織学的に微細な変化が認知されないおそれがある。
検査にあたっては,大きさ,形状,卵膜の性状と破口の位置,臍帯の長さ,太さ,形状,付着位置,血管の走行と性状などを,ひととおり視診した後,卵膜の破口と胎盤縁との最短距離を測ってから卵膜を胎盤縁で切離す。卵膜は破口をつかんで持ちあげ,束にし,ピンセットを軸にしてロールにし,破口を中心にロールを数cmの長さに横断して固定する。
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