特集 難治性婦人科悪性腫瘍の臨床最前線
5.絨毛性腫瘍
田代 浩徳
1
,
片渕 秀隆
2
H. Tashiro
1
,
H. Katabuchi
2
1熊本大学大学院生命科学研究部母子看護学分野
2同 産科婦人科学分野
pp.731-738
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000487
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絨毛性腫瘍のなかで多くを占める妊娠性絨毛癌は,先行する胞状奇胎の管理の浸透,特異的マーカーとなるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の高感度測定法の普及,多剤併用化学療法の完遂によって,患者数と死亡数はともに顕著に減少した。しかし,抗がん剤抵抗性,再発性,肺以外への転移病巣を有する妊娠性絨毛癌,子宮外に転移巣を有する胎盤部トロホブラスト腫瘍(PSTT)や類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT),また,転移性の非妊娠性絨毛癌といった絨毛性腫瘍ではしばしば難治性となり,死に至ることがある。このような難治性絨毛性腫瘍に対して,定型的な治療方策はなく,手術療法,化学療法あるいは放射線治療を組み入れた集学的治療を要する。また,難治性にならないように,絨毛性腫瘍についての認識を高め,管理を徹底し,適切な治療を完遂することにも留意が必要である。
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