連載 病院めぐり
長野赤十字病院
菅生 元康
pp.709
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100529
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長野赤十字病院は明治37年に創立され,今年で100周年を迎える.赤十字病院のなかでは日本赤十字社医療センターについで,および大津赤十字病院,山田赤十字病院と並んで長い歴史を有する.産婦人科は明治38年に設置され,現在まで長野県北部の中核的な産婦人科医療施設として機能してきた.産婦人科医は当初から東京帝国大学(現 東京大学)産科婦人科学教室から派遣され続け,責任者である医長(部長)は私で14代目に当たる.
第7代目の小林隆医長は昭和17年から23年まで在職されたのち,東京大学に講師として戻られた.大学では助教授,教授と順調に昇進され,医学部長も歴任された.日本産科婦人科学会の頂点に立たれたが,医学部長としても当時激しく燃えさかった大学紛争の真っ直中で大変な苦労をされた.私も医学部の最高学年で渦中にいたが,小林先生の学生に対する真摯な態度に感動したことを昨日のことのように思い出す.小林隆先生は東京大学教授時代に宮内庁御用係として活躍されたことはあまりにも有名である.また中枢内分泌が専門でありながら,子宮頸癌手術の達人でもあった.名著『子宮頸癌手術』は婦人科癌専門医を志すものにとっては,現在でもバイブルともいえる本である.この本の内容の多くは長野赤十字病院時代に工夫されたものであると,私が当院に赴任したあとで小林先生から直接うかがった.
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