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婦人科の骨粗鬆症治療における役割
骨粗鬆症はますます高齢化が進行するわが国においても早期発見・早期予防が重要な疾患である.本疾患は多因子が関連した生活習慣病であるが,女性に発症が多い理由として閉経に伴うエストロゲンの低下が大きく関連している可能性が高い1).そのため,閉経前後からの定期検診により早期発見・早期治療が可能であると思われるが,わが国では閉経前後からの定期的な骨量測定の制度はまだ十分に整っていない.わが国での骨粗鬆症に対する病識は決して高いとはいえず,骨粗鬆症患者においても自分は骨が丈夫であると過信しており,偶然に調べた検診で初めて指摘されることも少なくない.現実に骨折を起こしてから整形外科を受診し,骨粗鬆症の診断を受ける女性も多い.女性の一生を管理する婦人科医としては,進行した骨粗鬆症患者の治療にとどまらず,若年期からのエストロゲン低下症例や,閉経後の若い年代でも骨量減少症から骨粗鬆症へ進行する可能性の高いハイリスク症例などを早期に認識し,患者指導および治療を行き届かせることが大切な役割であると思われる.
骨粗鬆症の治療目標に対する考え方の変化
従来は骨の強度の大部分は骨密度によって規定されると考えられていたこともあり,骨粗鬆症治療においては骨量増加を治療効果判定の指標としてきた.そのため骨密度検査による薬剤の有効性の評価が重要視されてきた.しかし,1990年代後半より骨折防止効果を証明する大規模臨床試験が行われるようになり,骨粗鬆症治療でevidence─based medicine(EBM)が確立されてくるにしたがって,骨粗鬆症治療のend pointは骨量増加から骨折予防へと考え方が変化してきた.
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