特別記事
音楽療法の基本的考え方と実際
稲田 雅美
1,2
1同志社女子大学
2英国公認音楽療法
pp.469-475
発行日 1997年5月1日
Published Date 1997/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905344
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はじめに
ここ数年の間に日本においても音楽療法に多くの関心が寄せられるようになった.この音楽療法は,後述するように1940年代に欧米で体系づけられた流れをくんでおり,1960年代に櫻林仁によってはじめて日本に紹介された.そうしてその頃から,心身に障害をもつ子どもたちの施設や養護学校など一部の分野で音楽療法の理念に基づく教育が行なわれていた.
そして近年,とくに高齢者のケアについてさまざまな話題がとりあげられ,また学問としても心理学や社会福祉学の応用領域に関心が高まってきたことから,音楽を臨床に導入する試みがとみに盛んになってきた.しかし音楽が臨床領域に広くとり入れられるにつれて,音楽療法の基本的な理念や音楽療法を実践する者の役割などがあいまいになり始めていることも事実である.ここでは近代音楽療法を確立した英米の音楽療法事情を紹介しつつ,音楽療法のあり方や発展の方向性について探ってみたい.
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