特集 Spinal Instrumentation(第13回脊椎外科研究会より)
座長総括/「Ⅸ.腫瘍—Anterior Instrumentation (Ceramic Implant)—」の部
小野 啓郎
1
Keiro Ono
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
pp.344-346
発行日 1985年4月25日
Published Date 1985/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907162
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脊椎の悪性腫瘍は外科医にとっていまだに未解決の課題である.四肢の場合とちがって病巣の広汎切除が実際には困難であり,なんらかの補助手段によって根治性をたかめる工夫が要求される.たとえば放射線療法であり化学療法である.全剔が不可能であれば,せめて痛みや麻痺の原因となる脊髄神経根周辺の腫瘍浸潤を除きたいわけであるが,これまた完壁を期し難い.最後に部分切除された脊柱の支持性再建が残されている.こうしてみるとこのsessionのテーマであるanterior instrumentationというのがこの未解決課題のほんの部分解答に過ぎないことがよくわかる.ことが転移性腫瘍ということになれば,腫瘍病理・腫瘍の拡がりと病期・期待余命などより高い判断がさらに求められるはずである.そこでこのsessionにおける討議はanterior instrumentatinをめぐる技術論やindicationの是非よりも,脊椎における腫瘍外科そのものにむけられていったように思う.たとえば「転移性腫瘍である場合には術前に癌であることを患者に知らせるのか?」「前方から切除といっても,その範囲は限定されるのではないか?」「術後さらに拡がりはすまいか?」「数ヵ月以内に死亡する例にはたして手術は正当化されうるや?」といった議論である.講演内容を紹介しよう.
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