特集 腰仙部根症状の発症機序—基礎と臨床—(第15回日本脊椎外科研究会より)
座長総括/「Ⅴ.椎間板ヘルニア(1)」の部
小野 啓郎
1
Keiro Ono
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
pp.355-356
発行日 1987年4月25日
Published Date 1987/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907590
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椎間板ヘルニアに伴う神経症状や特徴的な身体所見がどのようなメカニズムで発現するのか,圧迫された神経根からみてどのような病態であると理解するのがよいのかというのがこのセッションにおける口演の基調となった.
まず辻(富山医薬大)は腰神経根の圧迫モデルを想定して,応力とその分布がヘルニアの大小・形状・加齢に伴う神経根の物理的性状によってどう影響されるかを理論的に解析した.神経根の伸び歪やYoung率からすれば,応力は鋭く突出したヘルニアで根が硬いほど大きいと考えられる.したがって若い患者のヘルニアほど別除の対象になるものが多く,他方神経根が弛緩し,かつ,台形に膨隆した高齢者のヘルニアでは後方除圧によって十分に神経症状を緩解させ得る可能性があるのではないかと主張した.これに対して若年者と高齢者における神経根の性状の違いがYoung率の上で明確な差を示すという事実があるのか? 老人の場合には根とヘルニア間に癒着が生じているために椎間板内圧が作用する例もあって,やはり摘出の対象となりうるのではないか? などの質問があいついだ.
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