特集 脊柱管内靱帯骨化の病態と治療(第16回日本脊椎外科研究会より)
座長総括/「III.脊柱管内靱帯骨化の病理」の部
小野 啓郎
1
Keiro Ono
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
pp.351-352
発行日 1988年4月25日
Published Date 1988/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907813
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近年の日本における脊椎外科進歩の動機が脊椎靱帯骨化症をめぐる国をあげての取組みにあることを否定する整形外科医はあるまい.しかしそのきっかけが月本裕国氏のOPLLの一剖検報告であったことを知る人は案外少ない.脊柱管内靱帯骨化の原因究明と治療にむけて整形外科医の真摯な努力が続いているのだが,病態究明には病理組織学的アプローチがいまなお研究の基盤になっていることも事実である.
「頸椎後縦靱帯骨化症(OPLL)死亡例の脊椎,脊髄のX線学的,病理組織学的所見(信州大学,木下ほか)」はC4,5,6からC1〜Th3までに増大した症例の詳細な剖検所見報告である.靱帯骨化のひろがり,骨化前線,椎間板病変との関係,骨化の様式を明らかにし,さらに脊髄病変にも触れている.演者は所見を総合して靱帯骨化が椎体隅角部近傍の骨膜にはじまり,長軸方向に進展して後縦靱帯の浅層方向へ厚みをましていくと推定する.主として内軟骨性骨化の様式をとり,椎体後面から硬膜側へ押し上げられるように厚みを堆すものと結論づけている.「OPLLのX線学的,病理組織学的検討(川崎協同病院整形,田中ほか)」はOPLLの分節型と連続型の相違をレ線所見と病理組織所見から明らかにし,その本態解明を狙ったものである.
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