論述
腓骨筋腱脱臼について
北田 力
1
,
増原 建二
1
,
高倉 義典
1
,
山下 正道
1
Chikara KITADA
1
1奈良県立医科大学整形外科学教室
pp.1140-1152
発行日 1977年12月25日
Published Date 1977/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905629
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はじめに
従来,比較的稀な疾患とされてきた腓骨筋腱脱臼も,近年スキーやサッカーなどのスポーツが普及するのに伴つてその報告も増加する傾向にある.1803年にMonteggiaがバレーダンサーにみられた本疾患についての報告をして以来,Stover1),Eckert2)に至るまで諸家による一連の報告がみられ,本邦においても古くは斎藤3),田代4)の報告に始まつて,近年柏木5),星6),岩原7),藤森8),三浦9),今里10),真野11),高沢12),中野13)らが相次いで報告を行なつている.これらの報告例より本疾患の分類についてこれを試みると第1表に示されるようになる.われわれは先天性脱臼2例,後天性外傷性脱臼11例,後天性非外傷性脱臼1例を経験したが,このうち外傷性脱臼5例に対してはKelly改良法14)を実施して良好な結果を得たので自験例とともに紹介する(第2表).また,後天性脱臼の発生機序に関しては切断肢を用いて幾何学的な方法により興味ある知見を得たので併せて論じてみたい.
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