特集 足の腱トラブル
腓骨筋腱脱臼の診断と治療
鈴木 朱美
1
,
石垣 大介
,
高木 理彰
1山形大学 医学部整形外科学講座
キーワード:
局所解剖学
,
腱損傷
,
関節脱臼
,
腓骨筋
,
治療成績
,
腱鞘
Keyword:
Anatomy, Regional
,
Joint Dislocations
,
Tendon Injuries
,
Treatment Outcome
pp.72-81
発行日 2017年1月19日
Published Date 2017/1/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2017100467
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病態
腓骨筋腱脱臼は,1803年にMonteggia1)により, 初めて報告された。その頻度は,足関節全外傷の 0.3 ~0.5%とまれで2),しばしば見逃されることも ある。長腓骨筋腱,短腓骨筋腱のうち,脱臼する のはほとんど前者で,後者が脱臼することはきわ めてまれである。短腓骨筋腱は,腓骨遠位2/3に 起始し,外果後方のやや近位で腱に移行し,外果 後方の腱溝を経て第五中足骨部に停止する。一方, 長腓骨筋腱は,脛骨外側顆および腓骨外側の近位 2/3に起始し,腓骨の遠位1/3で腱に移行し,外果 後方の腱溝を経て内側楔状骨と第一中足骨基部に 停止する。長腓骨筋腱は長大な遊離腱部を有し, また短腓骨筋腱よりも外側に位置するため,長腓 骨筋腱が脱臼しやすいとされる(図1,2)。 受傷機転は,長・短腓骨筋が足関節を底屈させ ている状態で他動的に背屈され,過大な力が腓骨 筋腱にかかり,上腓骨筋支帯(superior peroneal retinaculum;SPR)が外果より剥離して腓骨筋腱 が脱臼すると考えられている。
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