論述
筋有茎骨移植術を用いた股関節固定術
岩崎 勝郎
1
,
井手 迪
2
Katsuro IWASAKI
1
,
Susumu IDE
2
1長崎大学医学部整形外科学教室
2長崎原爆病院整形外科
pp.1153-1160
発行日 1977年12月25日
Published Date 1977/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905630
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いとぐち
股関節固定術は諸家の報告をみても6〜26%の失敗率があり,またギプスなどの外固定のために,膝関節拘縮をひき起こすことも稀ではない.それらのための対策として数多くの固定法が考案されてきた.
1954年Davis5)は骨移植の際に骨膜下血行を有する移植骨片を用いることの有用性から,筋有茎骨移植術(muscle pedicle bone graft)を用いた股関節固定術を発表した.そして1971年には48例に対して行なつた結果90%に骨性強直を得たと報告している6).また本邦においても高岸ら19)は5例の股関節結核に対し,Davis法で良好な結果をえたことを発表している.われわれも過去数年間にDavisの方法にいくつかの考案を加えた方法で21例に股関節固定術を行なつてきたが,本法は特に股関節結核など骨頭,頸部あるいは寛骨臼に高度の骨破壊を伴う症例の固定術において効力を発揮しうるものだと考えている.
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