論述
骨折治癒過程に及ぼす機械的因子の作用の再考察
山本 真
1
,
真角 昭吾
1
,
田場 弘之
1
Makoto YAMAMOTO
1
1北里大学医学部整形外科学教室
pp.854-861
発行日 1975年10月25日
Published Date 1975/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905250
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はじめに
私達は長管骨骨折(新鮮骨折から偽関節まで)の骨接合術としての髄内釘固定に一工夫を加え,螺子横固定や髄内圧迫などの手法を用いて良好な骨癒合を得てきたことはすでに報告した(臨整外,8;446,昭48,手術,27;875,昭48)8,15,16).この方法の根拠とするところは,骨折に対する観血的治療の適応についての論議はあるにしても,もし骨接合術が行われるならば,そのある理想的な姿を追究したところにある.私達は残念ながら骨折部を短時日に癒合せしめる,つまりbiological fracture healingを促進せしめる良い方法を有していない.このことを前提とし,ようやく強固になつてきた骨折固定法を考えあわせると,理想的な骨接合術とは手術が終つた時点で,clinical fracture healingがなされ,骨折の臨床症状は消失し,患者は短時日で社会,家庭生活に復帰し,そのうちに確実にradiological biological fracture healingがもたらされるという姿であると考えられる.つまり骨接合術を受けた患者はその骨癒合が完成するずつと以前に,すでに社会や家庭の生活に復帰しうるということである.
一般社会がもつ大きな長管骨骨折治療のイメージは,長期間の入院,長い固定そして長時日の後療法であつた.
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