視座
骨関節結核の回顧ことに関節機能の回復
片山 良亮
1,2
1東京慈恵会医科大学
2東急病院
pp.853
発行日 1975年10月25日
Published Date 1975/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905249
- 有料閲覧
- 文献概要
私の前半生の心血は骨関節結核の研究に注がれたが,患者数の減少に伴い,私の諸記憶も次第に薄れつつある折から,本年四月の総会のある演題についての追加,討論は私には誠に興味深いものであつた.
戦前の骨関節結核の治療を考えるに,陳旧例や混合感染に遭遇したときは,われわれはまつたく敗者の立場に置かれたが,戦後間もなくペニシリンの現われるや,ようやくにして混合感染に立ち向い,次いでSMその他の抗結核化学療法剤の現われるや,優位に立つて治療ができるようになつた.かつてCalotは「冷膿瘍にメスを加えることは死の門戸を開くに似たり」という当時の名言を遺しているが,今日では積極的にメスを加え,治癒を早めるようになつた.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.