論述
先天性および外傷性橈骨頭単独脱臼の橈骨外旋骨切り術
山本 真
1
,
二見 俊郎
1
,
山下 勇紀夫
1
,
田場 弘之
1
,
余 重徳
1
Makoto YAMAMOTO
1
,
Toshiro FUTAMI
1
1北里大学医学部整形外科学教室
pp.27-35
発行日 1976年1月25日
Published Date 1976/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905298
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はじめに
肘の橈骨頭単独脱臼は一般に稀であるが,まだ幾つかの問題を残している疾患である.外傷性脱臼が看過され陳旧性になつたものは当然屈曲制限や疼痛を生ずる.先天性脱臼は幼時には機能障害も小さく疼痛もないので気づかれぬことが多いが,思春期に到つて小さな外傷などが誘因となり疼痛を生じ,X線にて発見されることが多い.しかし多く治療上の困難さから放置され,橈骨頭や上腕尺骨関節などに2次変化が生じて症状増悪し,治療はますます難しくなることが知られている.できうれば症状を発現した若い時期に関節の相互関係を回復しておきたいものである.
そこで治療についてみると保存的療法は考え難く,手術療法として代表的な輪状靱帯形成術,橈骨骨頭切除術についてむしろ悲観的な報告が多い.現在この橈骨頭脱臼の手術療法は1つの壁に直面しているといつても過言ではないであろう.
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