境界領域
ヒトの骨格の正常および異常発生
西村 秀雄
1
,
田中 修
1
Hideo NISHIMURA
1
,
Osamu TANAKA
1
1京都大学医学部解剖学教室
pp.577-595
発行日 1973年7月25日
Published Date 1973/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904862
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いとぐち
運動器系統の疾病の治療に当つたり,その予防についての助言を行なつたりするに際して,この系統の正常または異常発生に通暁していることは必須であろう.ことに骨格系統の先天異常は比較的頻度が高く,また多くは機能障害を伴なうばかりか,外観上目立つため本人や家族に精神的な苦悩をもたらすものであつて,現代医学の重要な課題といえる.従来,奇形の発生は遣伝的であると思われて来たが,現代では胎生期における環境因子の影響も大であると考えられるようになつた.多くの骨の異常発生は各骨原基の発現期に成立すると考えられるから,環境因子の働く時期と異常の型との相関性を調べることも大切であろう.
骨格の発達は先ず胎芽における骨発生の初発組織たる間葉細胞の濃縮から始まり,思春期頃に亘つて続けられるが,ここでは胎生期に行なわれる骨発生における正常ないし異常に限定して,今日の知識を整理してみよう.
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